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パースエクスプレスVol.142 2009年11月号

 ところで、石油資源に乏しい日本では、こういった原油採掘時の大事故といったものは無いが、原油漏れで近海が汚染された例は過去にいくつかある。しかしいずれも、タンカーや貨物船から流出したもので、今回の事故のような大規模なものではない。日本でも海上での原油採掘は新潟、秋田、山形県沖で行われているが、やはり事故となれば、原油の流出がありうるわけだから他人事ではない。もし大量流出ともなれば、日本は漁業国だけにその被害は多大だ。また、近隣国にも大きな被害を与えるわけだから、なんとしても事故は避けなければならない。

 恐らく皆さんがこの記事を読まれる頃には前述の事故は復旧の目途が立っていることと思われるが、流出した原油の処理には莫大な時間が掛かるはずだ。環境保護に特に敏感なオーストラリア政府野党のグリーン党は、今回の事故で何かとPTTEPや政府を非難しているが、何か良い対策案でもあるのだろうか。以前どこかで読んだが、原油を分解するバクテリアが存在するというが、こういったハイテクを駆使した対策案でも出してほしいな。動物や環境保護では、とかく他国を非難するオーストラリアだが、事故とはいえ、自ら環境破壊をしていては残念ながら世界の笑いものになってしまう。

<筆者のプロフィール>
東京生まれの元祖ワーホリ。日本企業のエンジニアを辞職し、日豪で計3年間の修行の後、日本語教師となる。パース在住15年、日本語教師歴11年。ペンネーム「ブッシュウォーカー」。