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リレー小説
Vol.232/2017/5
第11回
【前回までのあらすじ】
沢田百々子、30歳。百々子はサンフランシスコで友達だったRisaの知り合い、恩田正平と偶然にもパースで出会うが、その正平がいきなり姿を消した。

第16走者
筆者:リン


 Highgateのシェアハウスは快適だった。オージーの大学生で、24歳のマシューとシンガポールから来た留学生のリン、21歳がシェアメイトだった。マシューはシェアオーナーだったが、ほとんど家にいなかった。授業が終わるとレストランで働きその後、ほとんどの日、ガールフレンドのところへ行っていた。リンはまさに箱入り娘といった感じで、学校が終わるとそのまま帰宅して、自分の部屋で過ごすことが多いようだった。私とは育ちも性格も全く異なっていたが、自分でもびっくりするほど容姿と背格好が似ていた。

 私は、まだまだホリデー気分が抜けきれず、Highgateの公園で本を読んだり、Mt Lawleyのカフェやレストランでパソコンを持ち込んで、インターネットをしたり、食事をする日々を過ごしていた。この日もBeaufort St沿いにある本屋で長い時間過ごしているとリンから電話が。「泥棒が入ったようだけど、何が盗まれたかわからない。百々子も自分の部屋を確認してほしい」といった内容だった。急いで帰り、自分の部屋を確認してみたが、何も盗まれている物はなかった。「学校から帰って、マシューにお願いされていた除草剤を倉庫に探しに行っている間に入られた」とリンは話してくれた。

 次の日、「リンを迎えに来てくれないか」とリンの学校から電話がかかってきた。「詳しいことは会ってから説明する」と早口で言われ、電話は切られた。


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