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パースエクスプレス Vol.187 2013年8月号

パースグローリー 8 永井龍 独占レポート

【2013年8月編】 昨年に引き続き、2013‐14シーズン開幕に向け、南アフリカにてキャンプ(7月20日〜8月2日)を行ったパースグローリー。キャンプの様子やプレシーズンマッチを振り返り、また新しいシーズンを迎えるにあたっての抱負なども含め、グローリーの永井龍選手に話を伺った。

永井龍 Ryo Nagai 永井龍 Ryo Nagai
永井龍 Ryo Nagai 永井龍 Ryo Nagai

〈南アフリカの印象〉
「アフリカ大陸には、初めて行きました。当初は、草原の中に無数の動物がいて自然に囲まれた国というイメージがありましたが、空港に着いて“あれ、都市かな…”と思ったんです。でも、空港から出て、バスで移動しているうちに、美しい自然とは違う光景を目にしました。未舗装の道路に無数のプレハブの家、路肩には山積みのゴミとそれを漁る人。日本がいかに豊かな国なのかを実感した、というのが正直なところです」

〈サッカーのレベルについて〉
「練習や練習試合の合間に少年サッカークラブを訪れ、一緒にボールをける機会がありました。そこでも驚くことがありました。まずは、サッカーへの技術の高さです。日本にいた時、セレッソ大阪のユースのチームに教えに行っていたので日本の子どもたちのレベルも知っていますが、もしかしたらアフリカの子どもたちの方がレベルは高いかもしれません。4年程前の18歳以下の日本代表で、アフリカのガーナ代表と対戦したことがありますが、当時は身体能力が高く足の早い選手がいるチームといった印象で、技術に関してはあまり気に留めませんでした。しかし、今回の子どもたちを見ると、アフリカの全体のレベルは急激に上がっていると思います。2010年のW杯開催地だったということも影響しているのでしょう。グローリーのチームメイトとも話をしましたが、アフリカのチームが将来、W杯で優勝する日はそう遠くないと思います」

〈子どもたちとボールをけって〉
「2つ目に驚いたことは、裸足の子や全く自分の足のサイズに合っていないスパイク、片足だけスパイクを履き、一方の足には上履きのような靴を履いているような子どもたちが、笑顔いっぱいにボールを追いかけていることでした。練習着や試合用のユニフォーム、スパイクが揃って当たり前の日本の子どもたちとは、全くかけ離れた光景でしたが、サッカーを教えに行った自分たちが、逆にいろいろな事を教わったような気がしました」

〈プレシーズンマッチについて〉
「試合は3試合行われて、全敗でした。Aリーグ開幕までの調整段階として、監督もいろいろと試したかったと思いますし、メンバーも全て揃っていたわけではなかったですが、3試合で無得点は厳しい結果でした。今回、この南アフリカに行ったことで、もちろんアフリカの文化やサッカー事情を知ることもできましたが、グローリーで自分が何をしなければならないかを明確に理解できました」

〈アフリカでの収穫〉
「やらなければならないことは、得点を取り、チームを勝たせる、それに尽きると思いました。自分が得点を取らない限り、チームは勝てないという責任感が、以前にも増して生まれました。周りもそう期待してくれていることも分かっていますし、南アフリカで更に強く感じました。また、南アフリカから帰ってきたばかりですが、8月14日にマレーシアのチームとプレシーズンマッチ(※)があります。10日にマレーシアに向けて出発しますが、結果を残せるようにがんばってきます」

〈新しいシーズンに向けて〉
「今は、リーグ開幕に向けて良い準備をすることだけしか考えていません。ベストの状態で臨めるようにしたいです。実は、プロのサッカー選手になって、リーグ開幕戦でスターティングメンバーに入ったことが今までありませんでした。セレッソ大阪では3シーズン、そして去年のグローリーのあわせて4シーズンとも。グローリーの開幕戦では十分可能性がありましたが、けがにより叶いませんでしたので、今年は是非と思っています。今までの自分のプレースタイルは、練習でも全く力を抜かず、何もかも全力でした。そのため、けがをすることも多かったです。プロになる前も、日本代表でプレーしていた時も“どれだけ上手くなるか”のために、自分をいつも追い込んできました。しかし、プロ選手となって今回で日豪あわせて5シーズン目となりますが、アマチュアとプロの違いが徐々に分かってきたような気もしています。プロとは、全て結果が要求されているということもです。パースに来て、プレーの幅も広がりました。長いこと、ストライカーとしてプレーしてきましたが、今はポジションを変え、違った意味でサッカーを楽しめています。今年のAリーグの開幕戦は10月13日、そして4月の最終節までの全27試合、けががなければ結果は出せると思っています」

(※)マレーシアのスーパーリーグ(国内最高峰リーグ)でプレーするJohor Darul Takzim FCと8月14日にLarkinスタジアムでPerth Gloryが対戦する。
●南アフリカでの子どもたちとの写真は永井選手本人から提供していただきました。


2013‐14シーズン開幕に向けての各プレシーズンマッチ戦績

2013‐14年シーズンに備え、7月1日にパースグローリーは始動した。そして、7月6日と13日にローカルチームと練習試合を行った。また、7月20日に永井選手含むグローリー選手団は、南アフリカに向けて出発。昨年同様、シーズン開幕前のキャンプを南アフリカで行い、南アフリカのプレミアサッカーリーグ(国内最高峰リーグ)でプレーする3チームとプレシーズンマッチを行った。

〈7月6日〉対 Kwinana United 3‐0

永井選手、後半の40分間プレー。

〈7月13日〉 対 Gosnells City 9‐1

約1,500の観客を集めた一戦で、永井選手はスタメンで出場。開始4分、ゴール前のこぼれ球を押し込み、チーム2点目を決め、15分にはアシストをした永井選手。後半の15分に選手交代でベンチに下がるも、2013‐14シーズに向けての初得点、初アシストを記録した。

〜Perth Glory South Africa Tour 2013〜

〈7月25日〉対MP Black Aces 0‐1

永井選手はスタメンで出場。後半15分までプレー。主に右サイドのMFでプレーし、相手DFを脅かすプレーで存在感をアピールした。

〈7月28日〉対University of Pretoria FC(Tuks FC) 0‐2

永井選手は後半15分から出場。

〈7月31日〉対SuperSport United 0‐2

永井選手はスタメンで出場。後半15分までプレー。アシスタントコーチのGareth Navenは「グローリーのチャンスは、主に永井龍から作られていた。試合は負けたが、その点は好材料となるだろう」とコメントを残している。


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