「バスレロに生きる」 −バスレロとはスペイン語でごみ捨て場を意味する−

 砂ぼこりを巻き上げ、地面を震せながら大型のゴミ収集車が次々に到着する。収集車の後部からゴミがどっと吐き出される。その回りに、大人も子どもも、男も女も一斉に群がる。大きなビニールのゴミ袋が破れ、マンゴーと西瓜が飛び出した。男の子がマンゴーを拾い上げ、嬉しそうな顔をして一口かじった。真っ黒な顔に、白い果肉が輝く。
 その白さが、眩しい。絵になる光景だ。シャッターを押しながら心が重く沈む。 
 牛の死骸が山と積み上げられている。無数の鳥が死肉をつつく。強烈な死臭で胃の奥が堅くなる。ピックアップトラックの後部に馬の屍を積んでやってきた男たち。

大きな穴に、馬を放り捨てた。衝撃で、ふくらんだ腹から腸が吹き出る。「撮影は止めてくれ。」馬を運んで来た男たちが私を制止した。
 中米・エルサルバドル、ニカラグア、グアテマラのゴミ捨て場に生きる人びとの生活を撮影しはじめ、今年で6年目になった。
 


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