何の気なしに聞いてみた。
 
「ハルモニは、ほんまに日本語がうまいなあ。どのくらい日本にいたん。」
 「うちのことはどうでもええねん。」
 さらっと流されてしまった。やはり自分自身のことは、話したがらないようだ。
  「ナヌムの家」から広州市の中心部へ出かけることになった。朴玉連(パク=オクリヨン)さん、金順徳(キン=スンドク)さん、金君子(キン=グンジャ)さんは、病院で治療を受けるための外出だ。裵春姫さんと李玉仙(イ=オクスン)さんの2人は、市場で買い物の予定。
 町に入った車が停まるやいなや李玉仙さんは、そそくさと人混みの中へ消えていった。
 裵春姫さんと私は2人、市場をぶらつくことになった。
 「おかしいなあ、ここにおいしいパン屋さんがあったのになあ。焼きたてのパンを出してくれるお店だったのに。」

 

 裵春姫さんは、残念そうに同じ通りを行ったり来たりする。だが、お目当ての店は見つからない。どうやら間違った通りに入ってしまったようだ。仕方なく、目の前にあったファーストフードの店に入ることになった。「飲み物だけでいいからから」、そう言っても、強引にハンバーガーとポテトを買ってくる。店の中には、2人の外国人男性がいた。裵春姫さんは、なんら臆することもなく、日本語で、続いて韓国語で話しかけた。
 「どこからきたの、あなたたち。」
 「バングラディッシュから。」
 年長の男性が、日本語で答えた。これは驚きだ。2人とも、不景気のため、日本から韓国へ渡ってきたという。

 裵春姫さんは、しきりに話しかける。
 「国を離れて、大変でしょう。ちゃんと食べてる。給料も、ちゃんともらってる?」

   


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