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パースエクスプレスVol.138 2009年7月号

 このところ比較的、平穏を保っていたオーストラリアのメディアだが、6月下旬に入り、ポップスター、マイケル・ジャクソン氏の突然死で一気に爆発した。ジャクソン氏の記事は連日、メディアのトップを占め、特集が組まれた。当分この勢いは収まらないだろう。そんな中で、影が薄くなってしまった国内記事だが、度々目にするボートピープル流入の記事が気になった。今年になって次々と際限なくオーストラリアに押し寄せるボートピープルだが、オーストラリア政府はどのような対応を施しているのだろうか。

 インドネシアに近いオーストラリア海域にクリスマス島という島があるのを知っているだろうか。オーストラリア海域に侵入し、拿捕されたボートピープルはまず、この島に抑留され、難民として身分が保障されるまで、ここで暮らしている。現在、この島には1,200人のボートピープルを抑留できる施設があるが、今後の予想から施設の不足と安全が懸念されている。6月28日、今年になって15隻目となったボートでは今年最大の194人の漂流者が確認され、クリスマス島へ向かわされた。しかし、「今回の約200人を抑留することで、クリスマス島の抑留センターはほとんど収容限界である、といった野党の忠告に対してオーストラリア政府は反論している(6月28日、The Sunday Times、online)」。移民省のクリス・エヴァンス氏は「クリスマス島には計1,200人(抑留センターのみで800人)抑留でき、新しい漂流者も現在センターに抑留中の479人と同様に、十分に世話をすることができる」と述べている。これに対し野党は、ラッド政府が海域保護政策を和らげているため、より多くの人々がボートでオーストラリアにやって来ようとする、と非難している。今後、アフガニスタン、スリランカ、ビルマ、イラクといった国々から、1万人が送り込まれるといった報告(6月30日、The Sunday Times、online)もあるが、こうなるとクリスマス島どころの話ではない。ラッド首相は今後、ボートピープルが出航する海外現場、特にインドネシアでの警察の目を強化する方針のようだ。

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