Japan Australia Information Link Media パースエクスプレス
パースエクスプレスVol.137 2009年6月号

前回は世界中で猛威を振るい始めた豚インフルエンザについて紹介したが、その後、オーストラリア国内でも感染者数が増え始め、警戒色が濃くなっており、国内のメディアでも主要トピックとして取り上げられている。国民もこのトピックに注目しがちであるが、その裏で見え隠れしているのは、相変わらず世界恐慌の話題だ。米クライスラー社が倒産するなど、まだまだ復活の兆しが見えていないだけに人々の不安の色は隠せない。そんな中、ある調査において、この世界恐慌でオーストラリアが一番、経済ダメージの少なかった国として挙げられていた。今回はその調査報告を紹介しよう。

アメリカをはじめ、ヨーロッパや日本、韓国など経済ダメージを受けた国は数知れない。オーストラリアもこの例に漏れず、ダメージを受けているといったことがメディアでも紹介されていたが、ここにきて「オーストラリア政府やメディアの悲観的な反応にもかかわらず、この世界恐慌の中でオーストラリアが最も平穏な国であることが国際ビジネス調査により示された(5月27日、The West Australian、Online)」といった報告を目にした。この調査は、4月にServcorp社が世界24カ国以上で実施した“International Business Confidence Survey”にて、国際ビジネスピープル7,500人に対して行なったものであるが、5人に1人がこの恐慌を最も上手く乗り越えた国としてオーストラリアを挙げている。まあこれは、世界の第一線で活躍するビジネスピープルの印象を元にしており、具体的なダメージ額から算出したものとは異なるが、ビジネスピープルの1人でもあるServcorp社取締役のMoufarrige氏は「世界中の国際ビジネスを舞台に仕事をする自分の経験から見て、特に過去6ヶ月間、オーストラリアのビジネスとオーストラリア人ビジネスピープルがいかに経済ダメージの影響を受けていないか、ということが分かる」と述べている。またこの調査で、オーストラリア人ビジネスピープルの71%以上が自分たちの国は幸運であると信じているが、興味深いのは他国の人々もそう感じているとのことである。

次のページへ