パースエクスプレスVol.143 2009年12月号

 近年の急速な科学技術の進歩により、世の中は大きく変化している。簡単に言ってしまえば、より便利な社会が形成されているわけで、誰もが快適な生活を送れるようになってきている。だが同時に、その裏のネガティブな部分というのが出現しているのも事実だ。特に最近は、携帯電話やパソコンを使ったインターネット上での犯罪が世界的に激増しており、大きな社会問題となっている。ここオーストラリアでもネット犯罪等は例に漏れず深刻になっているが、最近では『インターネット上のいじめ』といったものが子どもたちの世界にはびこり、親たちや学校関係者は頭をかかえている。現在、急増しているこの『ネットいじめ』だが、どういったものなのか。西オーストラリア(WA)州での状況をお伝えしよう。

 オーストラリアの家庭でのパソコンの普及率は高い。一家に数台のパソコンを持つのはごく普通で、子どもが自分専用のパソコンで宿題をするのが当たり前になっている。当然、パソコンはインターネットに接続されており、自分でいろいろな検索ができるわけだが、中にはネットを通じて友人同士でやり取りする中で、特別なネットページを設定して、学校のクラスメートを中傷する、いわゆる『いじめ』が行われている。「WA州警察によると、インターネット上で中傷されたり、ゴシップ、嫌がらせの写真を掲載された生徒やその親からの苦情連絡数が週10件に上る(11月27日、The West Australian、online)」という状況だが、通報されていないケースを含めれば、かなりの件数となるだろう。WA州エディス・コーワン大学のサイバーいじめ調査官のJulian Dooley氏によると、オーストラリアの4年生(9歳)から9年生(14歳)の生徒の約1割が、少なくとも2、3週間に1回はネットいじめに遭っており、その8割の生徒はネット外でもいじめの対象となっているとのことである。警察内のコンピューター犯罪班のJamie McDonald巡査は、こういったインターネット上でのいじめは、ストーカー行為や脅し、ゆすりといった犯罪行為とならない限り、通報を受けても警察で対処できないと述べ、ネットいじめが犯罪行為となりうるかという調査を行っているが、ほとんどが該当しないという。また、同巡査は、被害者の親たちに対し、教育省と連絡を取り、こういったネットいじめの加害者に刑罰を与える提案をすることを促している。

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