パースエクスプレスVol.134 2009年3月号

ここオーストラリアのすばらしいところは、国民の協力心が強いことだ。惨事の直後には民間レベルでも募金活動が始まり、被害者への支援が行われた。オーストラリア人伝統の『メイトシップ』はまだ健在なのであろう。影のヒーローは、炎と戦い、負傷者や動物たちを救出し、移動させた多くのボランティアたちだった。この儀式を見ていた多くの国民は、被害者たちを慰めたいという気持ちでいっぱいだったことだろう。 筆者には、まだ記憶に新しい阪神大震災の光景が頭に浮かぶ。瓦礫の中で途方に暮れる人々。これが本当に現在、起こっていることなのだろうかと。ここで活躍したのは、やはりボランティアの人々だった。瓦礫の中から負傷者を救出する人。水や食料を調達する人。人と人との触れ合いが減った現代で、久々に人々が一体となり、助け合っていたように思えた。

『ブラックサタデー』から1ヶ月以上経った今も、被害者への支援は続いている。近々、チャリティーコンサートなども計画され、チケットは飛ぶように売れているという。被害者たちは徐々に町や村に戻り生活を始めているようだが、支援金を元にどこまで生活を回復できたのだろうか。早くトラウマから開放されてほしいものだ。 ビクトリア州野党党首、テッド・バイリーのスピーチが心に残った。「私達は一体。ビクトリア州は一つ。あなた達には、私達の協力心と支援がある」。悲しみや苦しみも、皆で分かち合おうというメッセージだった。

<筆者のプロフィール>
東京生まれの元祖ワーホリ。日本企業のエンジニアを辞職し、日豪で計3年間の修行の後、日本語教師となる。パース在住15年、日本語教師歴11年。ペンネーム「ブッシュウォーカー」。

 


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