パースエクスプレスVol.134 2009年3月号

2月7日(土)、『ブラックサタデー』と名付けられたオーストラリア史上最大の災害惨事となったビクトリア州北東部のブッシュファイアー(山火事)は、国全体を深い悲しみに追いやった。200人以上の死者を出し、多くの人々が住居を失い、途方にくれる人々の姿が毎日、TVの画面に映し出された。町全体が爆弾でも落とされたかのように荒廃し、改めてブッシュファイアーの恐ろしさを知らされたように思う。2月22日には、この惨事を哀悼するため、メルボルンと被災地で同時に哀悼の儀式が行なわれた。今回はこの儀式の模様や参列者のメッセージ等を紹介しよう。

「ビクトリア州ブッシュファイアーの犠牲者を哀悼する国家儀式の開始を告げる教会の鐘が、午前11時に鳴り響いた(2月22日、The Sunday Times、online)」。数百人のブッシュファイアーから難を逃れた生存者を含む、何万人もの人々が儀式会場となったメルボルンのテルストラ・ドームに集合した。参列者の中には国家首相のケビン・ラッド、野党党首のマルコム・ターンブル、ビクトリア州首相のジョン・ブランビーという顔ぶれが並ぶ。会場には消防隊員を示す、黄色のジャケットに身を包む人々も見られた。最も被害の多かったホイットルシアでも特設会場が設置され、そこではメルボルン会場での光景が巨大なスクリーンに映し出されていた。国歌が歌われた後に、アボリジニ代表のジョイ・マーフィによるスピーチが続いた。「多くの人々や動物たちの生命、そして家屋が無残にも失われるということは、とても理解できるものではなく、起こったことを信じるのは本当に受け入れ難いことでしょう」。式場で涙を拭う人、肩を抱き合う人々の姿が映し出され、肉親や家族、友人を失った人々の気持ちが伝わってきた。

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