パースエクスプレスVol.120 2008年1月号

年が明けると、パースもいよいよ夏本番に突入する。乾燥した高温が続くと、人々に欠かせないのは水をはじめとする飲料だが、中にはアルコールを含んだものも多々ある。「ビール飲み」としての印象が強いオーストラリア人であるが、やはりこの時期にはアルコール飲料の消費が大幅に増える。飲酒による交通事故の増加やアルコールにより健康を害する人が多くなるのもこの時期だ。この度、WA州政府は飲酒の危険性に触れ、特に妊娠中の女性による飲酒に警告を発し、その対策の一つとして、アルコール飲料に警告表示を付けるといった案が上がっている。一体、どういったことなのだろうか。今回はこのアルコール摂取問題について考えてみよう。

アルコールがタバコと同様に、健康を害するものの代表として扱われるのはいつものことだが、ここにきて、妊婦の飲酒にターゲットが絞られ、その危険性が強調されている。妊娠中に飲酒をすると、胎内の子どもが胎児性アルコール症候群に陥り、死産もしくは顔面奇形や心臓病などを患った子どもが生まれる危険性が高いという。オーストラリア国立健康医療調査協議会は、妊婦による飲酒に対しての安全基準は無いとし、注意を促している。そしてこの度「WA州政府は、タバコのパッケージに類似した警告表示をアルコール飲料にも実施すべきだと確信している(1月6日、The Sunday Times)」といった対策案が出され、特に妊婦に対し、警告表示により飲酒をやめるように呼びかけようとしている。現在、オーストラリアで製造販売されているタバコのパッケージには大きな警告表示と写真が印刷され、喫煙を抑えようとしているが、アルコール飲料にも同様の試みを行うということである。海外ではすでにアルコール飲料へのラベル表示で、その効果が確証されており、オーストラリアの消費者もラベル表示の導入を支持するということが確認されている。問題は、アルコール飲料関連産業がこれにどう対応するかということだろう。

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