パースエクスプレスVol.112 2007年5月号

地球の温暖化問題は、相変わらず新聞紙面に途切れることなく登場している。現在、オーストラリアでは温暖化問題の解決策の一部として、ジョン・ハワード政府が核エネルギーの使用に積極的な態度を示しているが、これに対抗しているのが連邦野党の労働党である。労働党は国内での核エネルギーの使用を認めていないが、最近、その燃料となるウランの採鉱に対する党内の政策を破棄する、という提案をめぐり党内で意見が分かれ、物議を醸すことになった。現在、ウラン採鉱が全面禁止となっている西オーストラリア州(WA州)にとって、この提案が認められた場合には大きな意味を持つこととなる。今回はこの核エネルギー使用問題から新しいウラン採鉱、輸出の提案までに発展したこの問題に探りを入れてみよう。

核エネルギーの燃料となるウランはこれまでオーストラリアで輸出されてきてはいるが、その採鉱場所は限られており、WA州のように禁止されている州もある。しかし、ここにきて、「自由党政府は、WA州ウラン採鉱禁止を解除し、州内の港からのウランの輸出を認める(4月29日、The Sunday Times)」といったコメントがWA州野党自由党代表のポール・オモデイ氏から出た。WA州政府は現在、州与党の労働党の「非核」路線にあるが、今回の連邦労働党代表からのウラン採鉱政策破棄の提案もあり、州野党の自由党からこのような政策が出された。オモデイ氏によると、「WA州はウランを単に地下に眠らせることにより、何百万ドルもの収益を得そこねている」という。これに対して、州与党労働党のWA州首相、アラン・カーペンター氏からは「自分が州首相である限り、ウランは地下に留める。もしWA州でウラン採鉱が許されたなら、その時には間違いなくWA州は核廃棄物の捨て場所となるだろう」といったコメントが出た。確かに経済推進派にとって、ウラン鉱が豊富なWA州は魅力的だろう。もっとウランを輸出することにより、エネルギー不足に悩む国々を支援するという考えもある。しかし、核兵器として使用されることだって十分ありうるだろう。どこかの国に売って、それが北朝鮮のような国に流れないとも限らない。自分が売ったウランで自分が脅されるなんていうバカなことになってしまう。その辺のこともよく考えなくてはならないだろう。核エネルギーの利用は、エネルギー自体は効率よく得られるが、廃棄物の処理など全てを含めると莫大な費用が掛かるといわれている。政府はこういった費用を賄うためにもウランの輸出を推しているとも考えられる。


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