パースエクスプレスVol.111 2007年4月号

先月中旬まで、新聞紙面は相変わらず前回でも紹介した政治家辞職問題が中心だったが、ここにきて突然、メディア報道のトップを飾るようになったのは地元のフットボールチーム、ウエストコースト・イーグルスのスター選手、ベン・カズンの麻薬、覚せい剤使用問題だった。2年前には、オージー・フットボールプレーヤー最高の名誉となるメダルを授与されているスーパースターだけに、クラブとリーグ運営側は彼の処分について頭を抱えている。彼のフットボールに対する情熱は衰えていないようだが、麻薬、覚せい剤から離れられなくなった今では、フットボール以前の問題となってしまった。筆者はこれを機に、WA州内の麻薬、覚せい剤関連の記事に焦点を合わせてみたが、その数の多さに驚かされる。今回はそういったドラッグ関連記事の内容を簡単に紹介しながら、麻薬、覚せい剤問題を考えてみた。 麻薬、覚せい剤といったドラッグに手を出していたのが、ベン・カズンのようなスター選手だっただけにメディアも大きく扱っていたが、これが一般人の場合であれば、ドラッグ使用者の数は計り知れない。「ロイヤルパース病院は、攻撃的で錯乱したアンフェタミン使用者の増加とその対処に手を焼いている(4月2日、The West Australian online)」といった記事でもわかるように、アンフェタミンといった覚せい剤に手を出す若者が増えている。また、4月1日にはパースの南180キロにあるバンバリーという町で、ドラッグ売買で生じた借金がもとで18歳の若者が射殺される事件も起きたが、ドラッグが商品として社会に蔓延しているのがわかる。4月3日には、警察が上空より州の南西地域で800に及ぶ大麻栽培所を発見し、差し押さえたという記事があった(The West Australian online)。発見された大麻の量は末端価格で150万ドルというから驚きだ。こういった一連の記事から考えられるのは、製造者、ブローカー、購入者といった図式が成立し、水面下でドラッグビジネスが展開しているということだ。ここまでくるとドラッグの撲滅はそう容易なことではないだろう。

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