ここパースは、9月も後半に入ると日差しも大分強くなり、めっきり春らしくなるが、毎年そんな時期に国内で盛り上がる話題といえば、AFL(オーストラリアン・フットボール・リーグ)の優勝を決める決勝ラウンドだ。そして、今年は特にWA州の住民にとって、最高に盛り上がるシーズンとなった。パースのAFLチームであるウエスト・コースト・イーグルスが9月30日の決勝でシドニー・スワンズを破り、12年振りに優勝を成し遂げ、WA州全体が歓喜に満ち溢れている。日本から来たばかりの人達にとって、一体この大騒ぎは何なのかと、首を傾げることではないかと思われるので、AFLファンでもある筆者が簡単に説明しよう。

 オーストラリアで最も人気のあるスポーツといえば、やはりこのAFL、通称「フッティ」と呼ばれるオーストラリア式のフットボールだろう。スピード、タフネス、そしてスキルが要求されるこのフットボールは観客を間違いなく魅了する。AFLには現在、国内主要都市から16チームが加盟しており、毎年4月にリーグ戦が始まり、9月最後の土曜日のグランド・ファイナル(決勝)で幕を閉じる。リーグ戦で各チームの22試合が8月で終了し、その時点でのトップ8チームが9月からの決勝ラウンドへ進み、最後に勝者が決まる。昨年、地元のイーグルスは11年ぶりにこのグランド・ファイナルまで進んだが、シドニー・スワンズに惜敗し、涙をのんだ。そして今シーズン、この宿敵スワンズとはリーグ戦で縺れる勝負が続いたが、なんと最後のグランド・ファイナルでも顔を合わせることとなった。WA州住民にとって絶対に負けられない、勝てば昨年の「仕返し」となるこの勝負でも最後の最後まで縺れ、結局イーグルスがわずか1点差(フッティではバスケットボールのように高得点での勝負となる)で逃げ切り、その勝利の喜びは格別となったわけである。決勝翌日(10月1日)の地元紙「The Sunday Times」には特集が組まれ、コーチや選手、そしてファンのコメントなどが紹介されるなど、この日ばかりはどのメディアも「イーグルスカラー」に染まっていた。

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