車社会であるオーストラリアとあって、主要道路はその道幅も広く、路面もよく整備されている。中央分離帯には搭乗者の目を楽しませる綺麗な植物が植えられ、長い直線はドライバーを寛がせる。だが、裏を返せば、こういった道路がスピード狂にとっての絶好のレース場となってしまうこともあるのだ。先日(8月25日夜)は、パース近郊の公道で若者同士がハイパワーの車でレースをして事故を起こし、搭乗者の未成年者が亡くなった。最近はこういった公道でのレースで死傷する若者が後を立たず、州政府も頭を抱えているが、その対策として、移動式スピードカメラの設置場所を未公開にする、という新しい案が出ている。これは一体どんな事を意味しているのだろうか。ちょっと考えてみようか。
 スピードカメラを知らない人はいないと思うが、制限速度をオーバーした車をカメラで捉え、それを証拠にドライバーに罰金やペナルティを課すといった、スピード違反を取り締まる装置だ。先日の「もはや移動式スピードカメラの設置場所を一般公開しない、という論議を呼ぶ新提案が警察と西オーストラリア州交通安全協会より出された(9月3日 The Sunday Times)」という記事についてだが、現在、パース近郊の主要道路に数台の移動式カメラが設置され、その設置場所はテレビのニュースなどで、一般公開されている。これにより一般のドライバーは設置場所を知り、その付近では特に注意してスピードを落とすというわけだ。しかし今回の案では、カメラ設置場所を公開しないことにより、ドライバーに常にスピードカメラの存在を意識させるのが目的だ。しかし、この新案は社会で大きな論争を呼ぶと予想されている。反対者の中には、逆に違反者を多く捕らえ、罰金による資金調達がねらいではないか、といった皮肉な意見もある。筆者としては、この新案で本当にスピード違反数が減少すれば反対の理由など無いが、これで改造車を駆るスピード狂達を取り締まれるのかは疑問だ。彼らは警察の目を盗んでレースをするわけだから、予め確認して、カメラが設置されているような場所でレースなどしないだろう。カメラに収まるのは、うっかりスピードをオーバーした一般ドライバーが大半ではないかな。まあ結果は実施してみなくては分からないが、未公開でカメラ設置云々より、ハイパワーの改造車を取り締まった方が早いような気がするな。車好きには悪いが、車の特性を熟知せず、やたらパワーアップして意味のない派手な羽を付けているような車のドライバーが、制限速度内で走ることに満足できるとは思えない。

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