東京もTシャツ1枚で過ごせるようなポカポカ陽気が続いているけど、そろそろ天気も崩れだし、ジメ〜っとした梅雨に入りそうだ。今年は夏が早く来そうな予感・・・・・!

 話は変わるけど、俺達T・S・Bは去年から今年の2月までの1年かけて世界160カ国で放映されているナショナル・ジオ・グラフィックTVのプログラムで、日本全国の奇祭をナビゲートするドキュメンタリー番組をロケしてきた。その番組が今月初旬に世界中でオンエアーされたけど、なんとこれがShow Real Asia 2の「革新的ドキュメンタリー部門」で最優秀作品賞に輝きました。まぁ、奇祭と言われているくらいの祭りだから、これがものすごいものばかりだったよ。そりゃ、世界中にも変わった祭りはいっぱいあるけど(例えばスペインの牛追い祭りやイタリアのトマトを投げ合う祭りとか)、日本も変わってて、しかもすごい危険な祭りばかり。
 一番最初にロケしたのが長野の諏訪神社の7年に1度という「御柱祭」。足を滑らせたら下まで転げ落ちるくらいの急勾配のガケの上から樹齢何十年っていうどでかい大木に人が跨り、ガケの下に向かってロープで一気に引き落とすという壮絶な祭りなのだが、皆、丸太の下敷きになったり、ロープで引く方もガケの上から人の将棋倒しになったりで、毎回死傷者が出てしまうらしい。
 そんな恐ろしい祭りだというのに7年に1度しかやらないってことが大きいのか、参加している人達の高ぶりや、待ちわびていたって感じの興奮がものすごい。しかもこんな危険なのに子供やじいさんまでもが加わっているのだ。毎年やってる祭りと違って一生かけても10回参加できるかどうかってくらいだもんね。親子三代、四代で一緒に大木を!って人達が大勢いるのもわかる気がする。祭りを通して一族の絆もより一層、固く結ばれるんだろうなぁ。

 そして、次に参加したのは愛知の豊橋市の祭り「豊橋祇園祭」。大きな手筒花火を身体で抱きかかえて打ち上げるという奇祭だった。大竹の筒に火薬を詰め込んで作るものだが、火の粉が吹き上がるドラゴン花火の超ドデカ版って言ったらわかるだろうか。これがまた、抱きかかえるわけだから火の粉がもろに降りかかる。熱いってもんじゃない。しかも「はじけ」って言って、火薬が終わる時に筒が抜けるのだが、その衝撃もものすごく、一種の爆発みたいな現象が起こる。この祭りでも火傷やケガなどする人達が毎年出ているし、昔は暴発したことなどもあったらしいから危険な祭りだ。さすがに俺達は、30cm程の手持ちをやったんだが、小さいからとバカにできない程の火柱と爆発だった。自分達のステージでやってる花火なんてもんじゃなくて、足元にも及ばない。とにかくすごかったなぁ。なんせ、自家製花火だよ(笑)。




豊橋市の「豊橋祇園祭」
大きな手筒花火を抱えて打ち上げる
 

 3回目に行ったのは、大阪岸和田の「だんじり祭り」。これは結構全国的に有名だから知っている人も多いと思うけど、実際に参加してみると想像を絶するね。街中で山車を引き回すのだが、狭い路地もお構いなしに疾走させて民家につっこんだり、民家の屋根を吹っ飛ばしたり、とにかく豪快な祭りだった。各家もだんじり祭り保険ってのがあって、家が毎年壊されたりするんで、しっかり保険に入って備えるんだって(笑)。確かに山車の通り道になっている民家を見てみると小屋根だけが建て直され新しくなっている家が多いし、補強して祭り対策している家があったりと町並みを見て回っても笑えて面白い。
 この祭りでは家だけが被害を受けるんだろうと思っていたが、いやいや、これが結構ケガ人もいるらしく、俺達が参加したところでは山車の上から振り落とされ骨折した人が出たくらい。でも俺達は、この祭りに関しては、ホッとした気持ちで楽しくやれたかな?
 最後の4回目に参加した祭りは愛知県稲沢市の「国府宮裸祭り」。これは怖かった。毎年クジで選ばれた男が神の男「神男」となり、数ヶ月間、一切の関わりや欲などを断ち、神へ近づく儀式をこなしていき、祭り当日、全身の毛という毛を剃り落として身体を清め、素っ裸で社内に解き放たれるんだけど、その社内には1000人は優に超す程の裸衆が待ちかまえていて、神男に触ると自分の厄を全て払い落とせると言い伝えられている祭りだ。1000人を超す裸衆は神男を見つけると一斉に神男目がけて突進してくる。社内の100mくらいの道を突っ走るだけなのだが、想像してみてよ。1000人位の人間が、一斉に1人の神男目がけて一瞬でも触れようと襲いかかるようにやってくるんだよ。下手したら圧死してしまうくらいだ。
 俺も中に入ったけど、触るどころか近づけもしない。おまけに周りの裸衆の押し合いのための圧迫で呼吸するのもやっとってくらいだし。履いていた地下足袋なんてズタズタで、ほとんど裸足状態、転んだら最後だよ。命の危険をリアルに感じるものだったし、正直ものすごく怖かった。最後の方、神男は顔面蒼白、意識もあるのかないのかって状態で、歴代の神男達によって神社の中に引き込まれていくのだが、不思議なもので見ていると本当に死んじゃっているよって程なのに、ケガはあるけど神男ってくらいだから、目に見えない力で守られているのだろう、暫くするとシャンとして次なる祭りの儀式を行っているのだからすごい。
 こうやって1年間、日本にいてもなかなか参加できない奇祭に参加したのだが、どんなに危険で変わった祭りでも必ず、無病息災、豊作など祈願するという、しっかりした意味を持っており、形や方法はどうであれ昔からの教えで祭りによって神をまつりあげ、願う。参加してみて俺はしみじみ、日本の文化、祭りはいいなぁと改めて思ったのであります!!


大阪岸和田の「だんじり祭り」
街中で山車を引き回す

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