ここオーストラリア・パースでレストランを営み、今年で11年目を迎える『chez Uchino』の内野 治、理子ご夫妻。「親子三代にもわたって来続けてくださるお客様や、毎月必ず訪れてくださるお客様など、様々なお客様に支えられてここまできました。」
『オーストラリアへ』
治氏は帝国ホテル、ヨーロッパ各国のホテル、シカゴ領事館付けのメインシェフなどの経験後、83年オーストラリアの永住権を取得し、シドニー、メルボルンのホテルに勤務。その後、日本に一時帰国するが、パースのシェラトンホテルからオファーがあり、オーストラリアに戻ってくることを決意。そして、学生で来豪していた理子さんと出会い、結婚。
1988年、結婚の翌年、勤めていたバーズウッドカジノ・リゾートホテルを辞め、スビアコパビリオン内に自分の店「すしブティックOSAMU」をオープン。当時テイクアウェイの寿司ショップとしては、パースで2件目だった。まだまだ寿司さえ知らないオーストラリア人相手の商売ではあったが、1年後には、行列ができるほどの大盛況。
その後、うなぎ上りに上がっていた売上げだったが、わずか1年半でお店を人手に渡すことを決意する。「独立するための資金作り、オーストラリアでの経営や会計のいい勉強でした」と治氏。当時珍しかった日本食店への保健所の目も相当厳しかったらしい。しかし、成功していたお店をどうして手放したのかという質問に、「内野に本当に向いている仕事ではなかった」と理子さん。転機を悟った、敏速な行動力が成功につながる秘訣だったのかもしれない。

『日々の勉強は欠かせません』
そして、コテスローに念願の『chez uchino』をオープン。しかし当時のことを振り返り、「開店後、2年間は厳しく、資金も底をついてしまった」と。理子さんは、従業員の数を減らし、マネージメントに乗り出す。「いろいろなお店に食べに行って、どんな接客をしているか、またどんなサービスがあるか気になって研究しましたね。そして、あとは経験のみ。一日に何本もワインを注いでいるうちに、ワインの注ぎ方も上手になったし。お客様から教わることも沢山あるので、必ず話をするようにしています。」
そして、経営不振の時期であっても信頼する商品をお届けするという気持ちで、シェフ治氏の逸品を信じサポートし続けた理子さん。自分の腕を信じて突き進む治氏は「おいしいものをつくるには、素材が大切。材料費がいくら掛っても素材の質を落とさないことを心がけています。また、流行やお客様の嗜好に合わせ、メニューの改良も欠かしません。」「当初、目立たない所にあって、知る人ぞ知るお店がいいなと思ったが、地元オーストラリア人には表通りの目立つところにないとダメだということがわかりました。」
その後、地元ローカル紙に取り上げられるようになり、なんと6ヶ月先まで予約がとれない大繁盛となる。そして、97年『chez uchino』はモスマンパークに移転。客席も減らし、より質の高い味とサービスを提供している。

『チャンスをつかむ』
「やめようと思ったことは何度もあるのよ。でも、その度に慧(息子)のことを考えて、子供にギブアップすることを教えてはいけないなぁ、と頑張ってきました」と理子さん。「お店に育てられ、現在の自分たちがある。そして、信頼できるかけがえのないパートナー(奥様・理子さん)との出会いがあったからこそ続けられているのだと思います」と治氏。時間をかけてゆっくり寛げる最高のひとときを提供するために、内野夫妻は更なる夢に向かっている。
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