「『何もない国』から」

 中米を旅行する人にとって、ニカラグアは「何もない国」だそうだ。中米をよく知っている人にとっても状況は全く同じらしい。また、中米グアテマラやエルサルバドルに住む日本の人からもそういう話を聞いた。
 まあ、そういう印象がほとんどであろう。旅行ガイドブックを見ても、興味をひきそうな記述はあまり無い。観光立国/平和の国である隣国コスタリカと比べると、華やかさは全くない。実際、首都マナグアは、人口100万人の首都であるのに、見渡してみても目に入る建物は一つしかない。その唯一の高層ビルは以前、米国の「バンク・オブ・アメリカ」だったのを、今は政府のビルとして使っているにすぎない。郊外からマナグアを見ると、そのビルが唯一の目印である。これが本当に一国の首都なのだろうか。そう感じざるを得ない。

 72年の大地震で首都は壊滅、その後、米国の介入によって泥沼化した内戦。また、内戦終結後の政治的混乱。98年、再び起こった自然災害ハリケーン“ミッチ”による甚大な被害。一つの国家がここまで、自然災害と人為災害に苦しめられたのは、希有な例であろう。だが、そんな所にも人は住んでいる。当たり前である。

 

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