「『私の敵』が見えてこない」 by 宇田有三 

  ところが政治に関わらない音楽や芸能のエンターテイメント誌やスポーツ誌は10誌以上存在するのだろう。書店や路上ではカラフルな色をした出版物が所狭しと並べられていたりする。
 今、国内で何が起こっているのか、行われているのか、正確に知るすべはきわめて難しい。正確な情報源は口コミであったり、ノルウェーや英国から発信されるビルマ語の短波放送くらいである。インターネットは自由に使えない。それゆえ、インターネットカフェは存在しない。ただ、昨年の初め頃から民間のプロバイダー(もちろん軍部の息がかかっている)が設立され、メールの送受信が可能な街角メールオフィスは目につくようになってきた。しかし、インターネットには繋がっていないから、いわゆるフリーメール(@hotmai.com や @yahoo...)などは使えない。

    自宅や会社からのインターネット接続は、当局に申請し、許可されなければ使えない。それも、反政府活動などのウェブサイトには自由に見に行けない。訪問できるウェブサイトも決められていると聞いている。ビルマのインターネット世界は、国全体が巨大な「イントラネット」として機能している。ちょっと作り話の世界のようだ。

 一般市民は、日々刻々と動く、世界の大きな動きからは隔絶されている。もちろん、米国主導軍によるイラク侵攻などは伝えられている。しかし、もっと憂慮すべきは、国内各地の動静や情報の方をより厳しく統制され、自分たちの生活に直接関係あるニュースを正確に知らされていないことだろう。

   


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