ビルマ軍事政権は1989年6月、国名をthe Union of Burma / ビルマ連邦国から、the Union of Myanmar / ミャンマー連邦へと変えた。それは事実である。だが、どうして、対外的な「英語呼称」が「ビルマ」から「ミャンマー」に変わったからといって「日本語」での呼び方までも「ビルマ」から「ミャンマー」へと変えなければならないのだろうか。竹山道雄氏の『ビルマの竪琴』が『ミャンマーの竪琴』になってしまうのか。あるいは、今まで慣用的に使われてきた「上ビルマ」や「下ビルマ」という呼び方が「上ミャンマー」や「下ミャンマー」に変わるのか。たとえば、日本が自らの国の意志によって英語の呼称を「ジャパン(JAPAN)」 から「ニホン(NIPPON)」へと変えたとする(そのように、国連に届けたとする)。

その場合、ビルマに住む人びとが、ビルマ語で日本をニホンと呼び改めるだろうか。そうはならないと思う。今まで通りジャパンと呼ぶだろう(ちなみにビルマ語では日本をジャパンと呼ぶ。英語の呼び方そのままである)。また、英語を話す人びとが、自分たちの国や地域の中で、英語の単語を変えてまで、日本のことをジャパンからニホンへと呼び方を変えるだろうか。つまり、その人たちが日常の会話の単語まで変えてしまうだろうか。おそらく否であろう。さらに、スペイン語圏の人を例にとると、いくら日本が「英語呼称」をジャパンからニホンへと変えたからといって、彼らがスペイン語で話をするときは、スペイン語でハポンと言う代わりに、英語の呼称でニホンと言い始めるだろうか。そんなことはないだろう。スペイン語の単語、ハポンは、ハポンのままである。

   


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