幸いケガ人はいませんでしたが、驚いたことにものの5分もしないうちにレッカー車が何台もやってきたのでした。
まだ警察も来る前でしたから、一体どうやって事故のことを知ったのだろうと思って聞いてみると、TAXI会社と契約していて事故の情報を提供したTAXIドライバーには50ドルの謝礼を支払うことになっているのだそうでした。なるほど、それでこんなに早くレッカー車が集まれるわけなんだ。
感心している場合ではありませんでした。キャシーズに着くと僕は真っ先にチャーリーを捕まえて、TAXI会社に頼んで情報を集めてみたらどうだろうかと提案してみました。
チャーリーはしばらく腕を組んで考えていましたが、
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「めずらしくおまえと意見が一致したな」とつぶやくと、イエローページをめくり始めました。
「ただし、金がかかるぞ。」
チャーリーは僕を振り返って目で確かめてから、受話器を取り上げました。 この街にあるTAXI会社は全部で3つでした。
その3つの会社に依頼した内容は、以下の5点でした。
1.当方は盗難車を探しているが、公にしたくない。
2.車種はポルシェ911カレラ
3.ボディカラーはビリジアンと呼ばれる濃い緑のメタリック
4.インテリアはアイボリーイエローの皮張り仕様
5.コンディションはほとんど新車に近い状態
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