第9話 「SPEED」

 チャーリーからの忠告は、僕の胸に暗い影を投げかけました。チャーリーは嘘をつくような奴じゃありませんでしたから、きっと彼の言うようにMADISONはジャンキーなんだろうと思いました。キャシーズにもドラッグのために、働きに来ている娘がいるようでした。
  チャーリーの話によると、はじめはみんな短い間の“資金稼ぎ”が目的でやってくるのですが、思っていたよりもお金になることがわかると、だんだん止められなくなってしまうのだそうです。ただし、働き続けるには、仕事が夕方から明け方に及ぶため体力がついていかないという問題を誰もが抱えることになってしまいます。そこで、彼女達は「SPEED (スピード)」と呼ばれるケミカル系のドラッグに手を出してしまうのです。SPEED“日本でいう覚せい剤”は、小さな結晶をアルミホイルの上であぶってから、ストローで吸引する方法で使われるのが、一般的だそうです。
 ヘロインのように直接静脈に注射する必要が無いため跡が残らず、また吸引するとすぐに効果が現れることから、



一度“はまって”しまうとなかなか抜けられないドラッグなのだそうです。SPEEDを使うと、何時間でも感覚や体がさえて、 一晩中でもハードな仕事がこなせるようになってしまうために、こういう仕事をしている女性や、長距離を走るトラックドライバーなどに、常用者が多いということでした。ただし、常用すると必ず禁断症状が起こり、精神や肉体を通してさまざまな中毒性の障害を引き起こしてしまいます。
 


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