パースエクスプレスVol.136 2009年5月号

イースター休暇が終わり、ここパースの人々もほっと一息ついたところだが、そんな中、テレビを観ていて頻繁に登場する話題といえば、メキシコを中心に広まっている豚インフルエンザだった。まずは北アメリカに広がったと思えば、ヨーロッパに飛び、感染者がどんどん増え続けているという。ここオーストラリアは世界中から多くの人々が移住し、世界各国からの訪問者、帰国者が多いこともあって、オーストラリア政府もこのインフルエンザ対策に真剣に取り組み始めた。国際空港をはじめ、各病院ではその対応準備が整えられているが、今回はこの豚インフルエンザにかかわる、オーストラリアの状況を紹介しよう。

5月7日現在、全世界での感染者が2,100人以上、24の国・地域に広まっていることが確認されているこのインフルエンザは、フェーズ6を最高位とする警戒レベル中、世界保健機関によりフェーズ5までにそのレベルが上げられている(5月7日現在)。これは広まりを示すレベルで、症状の激しさを示すものとは違うが、やはり最悪、死に至る病気であることに変わりない。このインフルエンザは、通常は豚から豚へしか感染しないが、豚の体内で変化し、新型のインフルエンザとなったもので、人から人へ強い感染力を持つのが特徴だ。症状としては一般のインフルエンザと似ているが、急な発熱を伴うことが知られている。そしてこの発熱症状を考慮し、オーストラリア国内の空港では熱線スキャナーが設置され、高熱を伴う乗客を見出し、疑いのある場合は簡易検査を実施している。国内ではこれまで454人が豚インフルエンザの疑いで検査を受け、そのうち430人は陰性と判断され、これまでのところ感染者の報告はない(編集部注:5月9日現在、豪州国内で1名の感染が確認された)。そんな状況下、「インフルエンザ用抗ウイルス薬『タミフル』がオーストラリアで配給制となる(5月5日、The West Australian、online)」といった事態に至った。これは通常、インフルエンザのシーズンに約1万のタミフルが販売されるのに対し、1週間で12万以上のタミフルが販売され、在庫不足が懸念されたことによる。

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