人間にとって欠かせないのは「衣、食、住」だが、その中でも重要な「食」が特に近年、危機にさらされている。牛海綿状脳症、鳥インフルエンザは世界中で深刻な問題となり、消費者は牛肉、鶏肉を敬遠し、また他の食品についても、混入する添加物、野菜栽培に使用される農薬等、不安な要素は山ほどある。日本では消費者が食品に対しかなり敏感になり、食品にラベル表示が義務付けられているが、オーストラリアでも、ここパースをベースとして発行される地元の新聞で、生鮮食品のラベル表示に関するキャンペーンが現在行われている。いったいどんな事なのだろうか、豪日のケースを考えながら紹介しよう。

私たちが毎日、口にしている食品。実はその食品には様々な化学物質が加えられている。防腐剤、着色料、甘味料といった食品添加物から野菜栽培に使用される化学肥料、農薬など、挙げればキリがないが、はたしてこういった化学物質は人体になんらかの影響を与えないのだろうか。また、化学物質をエサに混ぜて育てられた家畜の肉の安全性も問題だろう。残念ながら、私たちは将来的に使用禁止になるような化学物質を含んだ食品を今も口にしている可能性が大と言えよう。消費者側としてはなるべく安全な食品を選びたいところだが、それには店頭での食品情報が必要となる。そこで出てきたのが、食品の生産地を消費者に知らせるという考えだ。食品の安全基準は生産地によって様々だ。生産地が分かれば、消費者も自分にとってより安全と思われる食品を選択できるようになる。オーストラリアで輸入された乾燥野菜50個を調査した際、その32%が、安全基準を満たしていたとはいえ、国産品より高濃度の有害物質を含んでいたという結果報告(「The West Australian」6月15日)からも、こういった生産地情報は大切だろう。ここパースでは、現在、地元紙「The West Australian」が生鮮食品の生産地をラベルで表示することを義務化するためのキャンペーンを行っている。これは現行の法律では、ラベルで生産物が地元産か輸入品であるかを示すのみで、生産地まで表示することができないからである。
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