パースエクスプレスVol.127 2008年8月号

ちょうど1年前になるが、このコーナーでパース近郊の不動産高騰について話したことがあった。異常に高騰した不動産のため、ここぞとばかり改築された家屋がバカ高い価格で販売され、止まるところを知らず、うなぎ登り状態だった。そして、何れはピークに達し、逆転が始まると予想されていたが、なかなか明白にはならず、噂ばかりが先行していたかのように思われた。だが、ここに来てそれが突然に表面化したようだ。現在、パース近郊の不動産取引は極端に落ち込み、専門家によるとこの傾向は暫く継続すると予想されている。今回は、不動産バブル崩壊とも取れるこの状況について紹介しよう。

2年前の2006年より顕著になりだしたパース近郊の不動産の高騰。あちらこちらで、老朽家屋が取り壊され、新築された家屋が異常に高い価格で販売されていく。こういったことがブームになり、我先にと不動産に買いが殺到し、さらに価格が高騰していく。そんなことがこの2年間に繰り返されていた。しかし昨年は、一部の地域で価格の下落が始まり、高騰もピークに達したと思われる兆候が見え隠れしていたが、今年の6月より急落が始まった。「西オーストラリア(WA)州の不動産販売は、過去10年間で最も落ち込み、住宅市場では100年に1度の不動産不況に向かう恐れがある(8月2日、The West Australian)」といった状況のようだ。WA州の不動産取引数は昨年の同時期に比べ20%以上も減少しているというから、不動産業界にとって問題は深刻だ。不動産価格の落ち込みはオーストラリアの主要都市で、0.6%から2.2%にまでおよび、国全体での住宅の中間平均価格は3%落ちの45万8千ドル(約4580万円:A$1=100円)となっている。これまでの状況が異常だっただけに、ホッとした市民も多いのではないだろうか。現在、WA州の雇用状況は安定しており、人口の増加もあるため、長期にわたる不動産開発が必要とされているようだが、これが通常の都市開発というものではないだろうか。ブームに乗せられて不動産投資を行った者にはショッキングなことだと思うが、不動産価格には上がり続けるという保証は無いということである。まあ、不動産投資も一種のギャンブルということだな。

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