ところで、日本でも安楽死は違法行為で刑事犯罪として扱われるが、耐え難い肉体的苦痛が存在すること、苦痛の除去・緩和が目的であること、患者が意思表示していることなど6つの要件を満たす場合には違法性が阻却されるとしている。最近の問題では、1991年「東海大学安楽死事件」、1995年に京都府で起きた「国保、京北病院事件」といったものある。

 今回の調査結果で思ったことは、違法行為と知りながらそれを実施し、それを調査で認めた勇気ある正直な医師が少なからずいたということだ。これには、現行の法律を改正すべきであるといった医師からのメッセージが含まれているのかもしれない。安楽死については、世間一般の見地と医療専門家の見地との間にかなりのギャップがあるという。個人にしても、宗教観、倫理観などの違いにより、意見も異なってくるだろう。現場に携わる医師たちは、命とは、また正義とは一体何なのか、といった複雑な問題に直面していることであろう。


<筆者のプロフィール>
東京生まれの元祖ワーホリ。日本企業のエンジニアを辞職し、日豪で計3年間の修行の後、日本語教師となる。パース在住15年、日本語教師歴11年。ペンネーム「ブッシュウォーカー」。

 


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