パースエクスプレスVol.119 2007年12月号

パースも夏に入り、今回で2年目となったデイライト・セービング(サマータイム)が実施されているが、どうもネガティブな声を耳にすることが多い。特に、シフト・ワーカーと言われる交代制勤務者にとって、この時期には疲労感が増し、かなりの負担となっているようだが、ここにきて、このシフト・ワーカーに対して新たな問題が指摘されている。最近の調査によると、シフト・ワーカーはガンになる危険度が高いということである。職業によっては、どうしても深夜に仕事をすることが多くなってしまう場合があると思うが、こういった労働者に対してこれからどのような対処がなされていくのだろうか。

 一般に夜行性動物以外の動物は、明るい昼間に行動し、暗い夜間に睡眠を摂る。人間もこういった動物と考えるなら、普通はこういった「概日サイクル」で生活をするのが自然だ。ところがこれに逆らうような行動をとることで、体に異変が生じたとしてもおかしくはないだろう。“体内時計”という言葉を知っていると思うが、人間は無意識にこの体内時計をベースに生活している。しかし、シフト・ワーカーはこの体内時計を無理に狂わせる生活を強いられているようだ。最近目にした、「夜間帯勤務者はガンになる危険性と関わっている(12月1日、The West Australian)」という記事内に、WHO(世界保健機関)によると夜間帯勤務者はガンになる危険性が特に高く、“不規則な勤務時間”を発ガン性要因候補として取り上げる、というものがあった。では、なぜ夜間帯勤務がガンを誘発するのだろうか。 その理由の一つとして、体内で「メラトニン」というホルモンが睡眠サイクルを制御し、腫瘍の発生を抑制しているが、このホルモンがシフト・ワーカーには生産されにくいという。多くの夜間勤務者は暗闇で仕事をするわけではなく、照明の光を受けて仕事をする。そして睡眠時間帯は昼なので、真っ暗闇での睡眠はとれない。結局、夜間帯勤務者が一日あたり、人口照明を含めた光を浴びる量が昼間に仕事する人より多くなってしまうことになる。そこで、常に光を浴び続けると体から「メラトニン」が出なくなってしまうと科学者は考えているようだ。

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