パースエクスプレスVol.118 2007年11月号

教育というのはどこの国にとっても、その国を支える大きな柱となるだろうが、ここオーストラリアも同様である。メディアには頻繁に教育問題が登場し、盛んに議論が飛び交っている。特にここは多文化国家でもあるために、問題は更に複雑極まりない。最近、この教育問題について新聞記事で目にしたのは、教師不足に対する政府の対応策が単純に教師側には受け入れられないといった内容だった。教師離れが進む中、政府もなんとか教師の数を維持するのに必死である。いったい、政府と教師側との間でどんなやり取りがあったのか、ここで簡単に紹介しよう。

我々が子供時代を振り返ってみて、教師から受けた影響というのは大人になってからも消えることなく残っているのがわかる。ある教師のために、好きになった、あるいは嫌いになった教科があるだろうし、将来の方向性が決まることすらある。それだけに、学校の教師というのは、子供にとって大きな存在であり、やりがいのある仕事でもある。しかしその反面、大きな責任を担うハードな仕事であるのも事実だろう。ただ単に教科だけを教えるのみでなく、子供達のしつけをも担当するとなると、多大なエネルギーが必要とされるはずだ。時代の流れなのか、かつては尊敬されていた教師という職業も最近ではその影は薄く、割に合わない仕事ということで敬遠されるようになってしまった。これは豪日とも共通したことであると思う。
 ここ西オーストラリア(WA)州は、広大であり、学校環境も様々である。都市部から離れた地域では人口も少なく、生徒数も限られるため、学年ごとの教育は困難である。また、家庭の事情で学校に来ない生徒も多いという。そんな地域に身を投じて教師になるにはある程度の覚悟がいるだろうが、実際に都市部からそういった地域に出かけて教師になろうとする人は稀だろう。また都市部では都市部で、荒廃する公立校が目立つようになり、そんな学校の教師は心身ともに磨り減ってしまう。結局、教師という仕事に見切りをつけて転職してしまう人が後を絶たないということだ。


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