パースエクスプレスVol.106 2006年11月号

ここ最近、オーストラリア全土での干ばつが深刻化し、農業関係者に大きな打撃を与えている。地球の温室効果によるものではないかという声もあり、オーストラリア政府もいよいよ本格的に6千万豪ドルをかけて、発電所等から放出する二酸化炭素や窒素酸化物等をおさえ、クリーンな大気を目指すこととなった。しかし、本当に効果を期待するなら、やはり社会全体の協力が必要となるだろう。身近なところでは、排気ガスを放出する車の問題がある。一家に2〜3台を所有するのがごく一般的なオーストラリアでは、大きな課題となる。そして、ここにきてようやく脚光を浴び出したのが、環境に優しいといわれるハイブリッド車である。

 最近の車はパワー、燃費の良さだけではなく、排気ガス等もかなりクリーンになり、性能が格段に向上しているが、排気ガスが激減したわけではない。エンジンが作動している限り二酸化炭素を含む排気ガスが出るのに変わりはないが、電気モーターを併用するハイブリッド車の登場で、これまでの車のイメージがオーストラリアで大きく変わりつつある。地元の「チャンネル9ニュース(10月30日放送)」では、消費者の立場からハイブリッド車が紹介され、メリット、デメリットが指摘されていた。メリットはなんといっても燃費の良さで、1リッターで20km以上走るわけだから、最近のガソリン価格高騰の対策にもなる。この車は電気モーターを併用して走るので、ガソリンエンジンを回すための燃料消費をセーブでき、結果的に二酸化炭素を含む排気ガス放出量も減るわけだ。現在、WA州政府機関でも数十台のハイブリッド車が使用されており、燃費改善と環境保護対策が行われている。問題は、まだ車の販売価格が高いこと。一般乗用車価格より1万5千豪ドル(約130万円)以上の値段なので、オーストラリアではまだハイブリッド車の良さを認める人以外は手を出さないだろう。まだまだ風変わりな高級電気自動車といったイメージが強そうだ。また、搭載する大型バッテリーに寿命があり、交換する場合には約3千豪ドル掛かるというから安くはない。

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