さて、この「死刑」、各国で様々な事情や考え方があるので、何とも言えないが、アメリカのように復活した例もある。アメリカでは1976年に死刑が復活し、この12月2日に1000件に達した。67年には死刑反対の世論の高まりから停止となったが、その後の各州で法令が整備され、最終的に「死刑合憲」となった。筆者としては、死刑復活により、凶悪な犯罪を減らす狙いがあるとも思えるのだが、どうだろうか。これとは反対に、ヨーロッパでは、欧州連合に加盟する全25カ国が死刑を廃止している。気になる日本だが、現在、死刑は年に数件、執行され続けている。ここではスペースの関係上、日本の死刑制度について詳しく書けないので、興味のある人はウェブサイト等で当たってほしい。日本での最近の凶悪犯の中には、刑務所の出入りを繰り返し、服役中に次の犯行を考えていた者がいるようだ。本人に死刑判決が出ても平然としているというが、こういった反省のない人間に対しての死刑は一般市民も納得してしまうかもしれないな。これ以上生きていても、社会に多大な迷惑を掛けるわけだから仕方がないのだろう。しかし、もし罪が死によって償われるという考えでの死刑ならば、最近の自爆テロ等はどう考えたらいいのか分からなくなってしまう。

「死刑」というと必ず登場するのが「人権」という言葉だが、この「人権」とはいったいどのようなものなのか。恐らく国によってその定義の捕らえ方が異なっているのではないだろうか。また、罪と死という観点から、宗教に関わる部分も多いかとも思われる。12月6日より、東京で死刑制度を考える国際会議が始まる。日米欧の法律家や専門家らが、死刑制度を巡る世界の状況、死刑に代わる刑罰、死刑と誤判といったものを検討するようだ。また新たに死刑に対する考え方に進歩が生まれるだろうか。

 

<筆者のプロフィール>
東京生まれの元祖ワーホリ。日本企業のエンジニアを辞職し、日豪で計3年間の修行の後、日本語教師となる。パース在住15年、日本語教師歴11年。ペンネーム「ブッシュウォーカー」。

 

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